
沖ノ島と宗像の漁師
2017年7月ユネスコ世界文化遺産に正式に登録された『「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群』。
構成資産の一つ、沖ノ島と宗像の漁師とは古くからの関わりがあります。
宗像大社の秋季大祭の幕開けを飾る「みあれ祭」。
御座船を中心に大漁旗を掲げた船団が、大島港から神湊港までを勇壮に進む海上神幸を行い、漁師たちは漁の安全と豊漁を祈願します。

みあれ祭(海上神幸)の様子
「みあれ祭(海上神幸)」とは、宗像大社の三女神である、沖の島にある沖津宮の田心(たごり)姫神様(長女)と、大島にある中津宮の湍津(たぎつ)姫神様(次女)を、宗像市田島にある辺津宮の市杵島(いちきしま)姫神様(三女)が、神湊の沖合まで出迎えられ、1年に1度、三姉妹の姫神様を宗像大社へ、お迎えする神事です。
その三女神の御神体を乗せた船を御座船と呼びます。

御座船
御座船は、その年に出来た新造船があればその船に、新造船ができなかった年は網元など大きな船を所持されている宗像漁協の組合員に御座船として出ていただいています。

みあれ祭遠景

宗像・大島・沖ノ島周辺地図
大島から神湊までの海域は、水深が浅く海流も速いため波も荒々しくなります。そのうえ多くの船が密集しているため予想外の波がきたり、思い通りに舵が効かない事もあるため、船同士が衝突しないように常に気を付けて操船しています。
初めて参加した時は嬉しい反面、かなり緊張しました
また、みあれ祭(海上神幸)は神事のため、昔からのしきたりがあります。女性を漁船に乗せることができません。そのしきたりは昔から厳格に守られています。

沖ノ島
古くから沖ノ島と関わってきた宗像の漁師たち。沖ノ島が正式に世界文化遺産に登録されたことについて、率直な意見を聞いてきました。
漁師は古くから沖ノ島を大切にし、守ってもらってきた。世界遺産になったことは誇らしい。
海の安全や豊漁を願って信仰してきた。海から島を見ようと船で観光客や釣り人が多く来るだろうが、沖ノ島の環境や伝統が守られるように努めたい。
沖ノ島の周辺は好漁場で漁船やレジャー船が多い、さらに観光客が増えることでトラブルにならないよう、みんなで対策を考えて好漁場を守ろうと思う。
沖ノ島周辺の環境保全はもちろん、沖ノ島信仰に関する伝統をこれからも宗像の漁師たちは守っていきます。